「パチンコで確実に勝てる方法があるんです」 「次回の宝くじの当選番号、教えましょうか」
ある日突然、あなたの元にこんなメールやメッセージが届くことがあります。
競馬や宝くじなどの予想を提供し、「必ず当たる」「確実に儲かる」と甘い言葉で誘惑してくるのです。
しかし、断言しますが、ギャンブルに「絶対」は存在しません。
今回は、警視庁の詐欺対策ページでも警告されている「ギャンブル詐欺(情報商法詐欺)」の恐るべき手口と、その裏に隠された巧妙なカラクリについてお話しします。
正規の予想サイトと「詐欺サイト」の決定的な違い
インターネット上や雑誌には、正規の予想サイトやブログも多数存在します。
これらが全て詐欺というわけではありません。
では、どこで見分ければ良いのでしょうか。
正規の予想サイトは、あくまでも予想は外れることもあるということを前提としていて、的中を保証するものではないと明記されています。
運営元の連絡先も明確で、娯楽の「参考情報」として提供されているのです。
しかし、詐欺の予想サイトは、 「必ず当たる」「確実に儲かる」と断言しています。
そして、元関係者の内部情報によればといったような、言葉で信憑性を装い、最初は無料で信用させ、後から高額な情報料を請求してくるというのが特徴です。
70代男性・Cさんの悲劇
「ギャンブルで確実に当たるなど、そんな話あるわけない」と笑い飛ばせる方もいるでしょうが、送られてきたメールを見て、もしかしたらという淡い期待で、少ない資本でもお金が増やせるならと思う人もいるかもしれません。
Cさんは72歳の男性で年金と退職金を取り崩しながらの生活をしていました。
仕事をしていた頃から、趣味として公営競馬などをして遊んでいました。
そのようなCさんのところに、1通のメールが届きます。
「元JRA関係者が明かす、本当に当たる情報。登録無料」という広告が送られてきたのです。
ここのところさっぱり予想が当たっていないCさんは、「内部の人間なら、特別な情報を持っているかもしれない」と、軽い気持ちで無料登録ということで、メールに返信してしまいました。
すると翌日送られてきた地方競馬の予想番号が、見事に的中したのです。
「本当に当たった!やはり本物だ」と興奮するCさんでした。
その後、週末に開催される中央競馬の予想が送られてきて、新聞で確認すると1万円の馬券が当たっています。
半信半疑だったCさんでしたが、続けて二回当たって、それも万馬券を当てたとなると驚きと同時にすっかり信じてしまいました。
詐欺師の恐るべきカラクリ
なぜ、詐欺師から送られてきた予想が二回続けて、見事に的中したのでしょうか。
これには計算されたからくりがあります。
現実的な例として説明すると、詐欺師が「100人」に予想メールを送るケースで考えてみましょう。
分かりやすく説明すると、
1. 最初の予想メール(100人へ送信)
- 50人には「A馬が勝つ」と送る
- 残りの50人には「B馬が勝つ」と送る
- 結果:どちらかの馬が勝てば、半数の50人は見事的中したことになります。
2. 2回目の予想メール(当たった50人のみへ送信)
- 25人には「C馬が勝つ」と送る
- 残りの25人には「D馬が勝つ」と送る
- 結果:またどちらかが勝つので、25人が再び的中します。
3. 3回目の予想メール(当たった25人のみへ送信)
- 12人には「E馬が勝つ」と送る
- 13人には「F馬が勝つ」と送る
- 結果:ここで約12人が「3回連続的中」したということになるのです。
残った12人
さて、最後に残ったこの12人はどう感じているでしょうか。
3回も連続でズバリ当てたということで、この情報は絶対に本物だと、完全に信じ込んでしまうのです。
手当たり次第にメールを送り、偶然当たり続けた人を最後まで残して選別して、深く信じ込んだ人に対して騙してくるのです。
つまり、連続して当たることで、そのすっかり信じ込んだ12人だけを狙って、「ここから先は特別情報です。確実に儲かる情報料として特別会員として10万円をお支払いください」と高額請求のメールを送りつけてきます。
エスカレートする罠
Cさんは、その最後の12人の中に入っていたことから、すっかり信じ込んでしまい、10万円を振り込んで特別会員登録をしてしまったのです。
しかし、特別会員になった途端、送られてくる予想はことごとく外れるようになりました。
当然、Cさんは話が違うと、メール先にクレームを入れますが、詐欺師はここでさらに巧妙な罠を仕掛けてきます。
「今回は不確実な情報を判断してしまい申し訳ありませんでした。しかし、今回はCさんだけに、『極秘の耳寄り情報』をお教えします」と、誘ってきます。
普通ならここで騙されていると感じて、縁を切るはずですが、すでに大金を注ぎ込んでしまっているCさんは、「なんとかしてこの負けを取り返さなければ」という焦りから冷静な判断力を失い、言われるがままにさらに大金を振り込んでしまったのです。
Cさんが気づいたときには、半年間で総額100万円を失っていました。
彼が一番つらかったのは、お金を失ったこと以上に、自分はずっと騙されていたのに、儲かるかもしれないと信じ込まされていたことでした。
そして、恥ずかしさから誰にも相談できず、一人で抱え込んだことが被害を拡大させてしまったのです。
詐欺を見分けるための4つのポイント
情報商法の詐欺には、必ず共通点があります。
- 「元関係者」「内部情報」という言葉を使う
- 最初は無料、または少額から始まる
- 「今だけ」「あなただけ」と急かしてくる
- 「必ず儲かる」と誘ってくる
この詐欺から身を守るための絶対的な大原則は一つです。
「お金を払って、儲け話(情報)を買う必要はない」ということです。
本物の内部情報を見知らぬ他人に売る人間はいないということは、冷静に考えればわかることです。
このことは、ギャンブルなどに限らず、暗号資産や投資といったことにも共通して言えることです。
もし本当に必勝法があるなら、その人自身がこっそり使って儲ければいいだけの話で、わざわざ他人に教えてその情報を売る理由がありません。
その後のCさんですが、再度メールの相手先に連絡すると、そこから連絡が取れなくなってしいました。
メールだけのやり取りだったので、相手がどこの誰だかわからないまま泣き寝入りするしかありません。
Cさんが高い授業料を払って学んだことは、うまい話には必ず裏があるということです。
今後は、この言葉を胸に刻んで生きることで、大切なお金は守られることを知ったのです。