詐欺の被害に遭った人が、その後また別の詐欺に遭って騙されてしまう。
そのようなことが起こると、どうしてまた騙されるのかと思ってしまう人がいるかもしれません。
一度目の被害が勉強にならなかったのかと、被害者を責めてしまうことがあります。
しかし実際には、一度騙された人ほど、詐欺師たちから執拗に狙われる現実があります。
しかも相手は、前回の失敗や不安、孤独な気持ちまで調べたうえで近づいてきます。
つまりこれは、個人の弱さではなく、詐欺師たちの巧みな心理操作の罠にハマってしまうことによって起こることなのです。
今回は、詐欺師たちがどのように、一度騙された被害者に近寄り騙していくのかを考えてみることにします。
被害者名簿が売買されている現実
一度詐欺に遭った人の個人情報は「被害者名簿」として詐欺グループの間で売買されています。
名前、住所、電話番号、そして「いくら騙し取られたか」という情報まで記載されたリストが、闇市場で取引されているのです。
つまり一度騙されると、その情報が別の詐欺グループに渡り、次々と新たな詐欺師が近づいてくるという恐ろしい連鎖が始まります。
詐欺師の世界では、一度騙された人は「騙しやすい人」というレッテルを貼られてしまうのです。
なぜなら詐欺師たちは、被害者が「どんな言葉に不安を感じたか」「どんな話を信じてしまったのか」「どのような状況で追い込んだのか」など、心の動きまで分析し、次の詐欺に利用しようとするために残しているからです。
一度騙された人が再び騙される四つの心理
① 「取り戻したい」という焦りにつけ込まれる
一度お金を失った人の心には「なんとしても被害額を取り戻したい」という強い焦りが生まれます。
詐欺師はその心理を巧みに利用します。
「あなたの被害を回復できます」「騙し取ったグループを摘発して、被害額を取り戻しましょう」
こうした言葉で近づいてきて、被害者に寄り添うようなことをしてきます。
冷静であれば怪しいと気づける話でも、お金を失った焦りの中では判断力が著しく低下してしまうという心理が働くことから引っかかってしまうのです。
② 恥ずかしくて誰にも言えない孤立
騙されたことを家族や友人に打ち明けられないまま、一人で抱え込んでしまう高齢者は少なくありません。
「こんなことで騙されたと知られたら恥ずかしい」「家族に心配をかけたくない」——その孤立した状況が、次の詐欺師にとってのターゲットになるのです。
相談できる人がいないため、また一人で判断してしまい、結果として、二度目の被害に遭ってしまうことがあるのです。
③ 今度は騙されないという過信
一度詐欺を経験すると、もう同じ失敗はしないし、今度は見抜けると思いがちになります。
詐欺師たちは、前回と同じ方法では近づいてきません。
さらに、自分は一度経験しているから騙されないという過信こそが、逆に警戒心が弱くなることになるのです。
④ 信頼できる人への渇望
一度騙されて深く傷ついた人は、誰かに寄り添ってほしいという気持ちが強くなります。
「あなたの味方です」「一緒に解決しましょう」という言葉で近づいてくる詐欺師は、まさにその渇望につけ込んで近づいてきます。
そして、この人は自分の良き理解者だと思ってしまい、最終的に騙されてしまうのです。
二次詐欺にはどのようなものがあるのか
被害回復詐欺
あなたが騙された詐欺グループを摘発する捜査に協力してほしい。
協力してくれれば被害額を取り戻せるという名目で、さらにお金を騙し取ってきます。
警察官などを装って近づいて、「あなたを騙した詐欺グループを摘発しようとしています」などと連絡してきて、詐欺師を捕まえるために、あなたの架空の口座に100万円を振り込んで捕まえる証拠にしたいのです。
詐欺師が作った架空口座にお金を振り込ませて騙し取ろうとする手口です。
和解金詐欺
あなたを騙した詐欺グループが捕まった。
和解金として一部を返金するので、手続き費用を払ってほしいという手口で、お金を騙し取ろうとします。
お金が戻ってくるという期待が、冷静な判断を奪い、お金が戻ってくるならと、言われるままにお金を振り込んでしまいます。
冷静に考えれば、詐欺師との和解金などあり得ないのですが、戻してもらえるという期待から騙されるのです。
商材詐欺
詐欺に遭わないために、詐欺対策の電話機や防犯システムなど、今すぐ対策しないと危険なので、すぐに対策を考えてくださいと不安をあおり、高額な商材を買わせます。
もう二度と騙されたくないという不安につけ込んだ、悪質な手口として被害者を騙すのです。
二度と騙されないための三つの習慣
① 被害を一人で抱え込まない
騙されたことが発覚したら、恥ずかしくても必ず家族や信頼できる人に話してください。
一人で抱え込んでいると、次の詐欺師につけ込まれる隙が生まれます。
専門家のアドバイスを求めるなら、国民生活センター(188)に相談することで、次の被害を防ぐアドバイスを受けることができます。
② 被害額を取り戻せるという話は全て疑う
一度騙された後に「被害を回復できます」という話が来たら、それは100%二次詐欺だと思ってください。
本物の警察や弁護士が、電話やSNSで被害回復を持ちかけてくることはありません。
こちらが信用できる弁護士や司法書士などに相談することをおすすめします。
③個人情報を守る意識を持つ
一度詐欺に遭った後は、自分の個人情報が被害者名簿として出回っている可能性があるということを認識してください。
見知らぬ相手からの電話やメールには、これまで以上に慎重に対応することが必要です。
詐欺師より一歩先を行くために
詐欺に遭うのは自分が悪いという考えは間違っています。
現代の詐欺は組織化され、人間の心理を徹底的に研究した上で仕掛けてきます。
騙されることは、決してその人の弱さや愚かさを意味しません。
しかし二度目は防げることができます。
被害を一人で抱え込まないこと、取り戻せるという話には絶対に乗らないこと、そして家族や周囲の人と日頃からコミュニケーションを取っておくこと、これらの三つを心がけるだけで、詐欺師があなたにつけ込む隙を与えないことになります。
詐欺師はあなたの孤独と焦りを狙っています。
だからこそ、あなたの周りに何でも話せる人がいることが、最大の防衛策になるのです。