「お金を返しますから」という言葉から始まる還付金詐欺の手口

還付金詐欺については、みんさんの中には、ご存知な方が多くいるかと思います。

しかし、年金が増額されたなどのニュースを聞くたびに、このようなお金を払い戻しますというような詐欺が頻発してくることから、もう一度おさらいの意味を込めて、還付金詐欺について書いてみたいと思います。

多くの詐欺は、「お金を払ってください」という言葉から始まりますが、還付金詐欺だけは違います。

犯人は最初に、「あなたに、お金を返します」と言ってくるのです。

私たちは普段、「お金を支払え」と言われると強く警戒しますが、「払いすぎた税金や医療費があるので、手続きをすれば戻りますよ」と言われると、不思議と警戒心が薄れてしまいます。

還付金詐欺は、人間の「損をしたくない」「もらえるものは受け取りたい」という自然な心理を巧妙に突いた犯罪なのです。

被害者はお金を失うと思っていない

オレオレ詐欺なら、自分のお金を「他人に渡す」という行為に、少なからず不安や疑問を抱きます。

しかし、還付金詐欺の被害者は違います。

犯人から、役所の者ですと名乗られ丁寧な言葉で案内されるため、被害者は最後まで、自分のお金を受け取るための正しい公的な手続きと信じ込んでしまうのです。

自分が騙されてお金を奪われているとは夢にも思っていないため、途中で被害に気づくことが非常に難しいと言われています。

被害者にとっては、あくまでも手続きをしているという感覚で行っているからです。

ATMへ向かわせる騙しのカラクリ

ここで犯人が利用するのが、スーパーやコンビニに置かれているATMです。

冷静に考えてみてください。

国や役所があなたへお金を返すなら、わざわざあなたがATMを操作する必要があるかということです。

本来なら、役所があなたの口座へ直接振り込まれるはずですが、犯人が被害者をATMに向かわせるのは明確な理由があるからです。

被害者自身が操作をするということを利用して、犯人の口座へお金を振り込ませるという、うまく考えられたトリックに引っかからせるためです。

被害者をATMの前に行かせて、「受け取りの手続き画面を開きますので、『お振り込み』のボタンを押してください」と電話口で次々と指示を出します。

さらに、「あなたの受付番号は『499500』ですので、画面に入力してください」と言います。

実はこれ、受付番号ではなく「49万9,500円」という送金金額なのです。

被害者は、受け取りのための登録番号を入力していると思い込み、実際には自分のお金を犯人に送金してしまうという、還付金詐欺に用いられる恐ろしいカラクリということになります。

「今日までです」という言葉で焦らせる

還付金詐欺の電話では、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。

「今日が手続きの最終日です」 「期限が切れてしまいます」 「今すぐATMへ向かってください」

なぜこれほど急がすのでしょうか。

それは、あなたから「考える時間」を奪うためです。

人は焦ると視野が狭くなり、家族や警察に相談するという冷静な判断ができなくなり、考える間もなく詐欺師の指示通りに動いてしまいます。

しかし、本物の役所が、お金を返す手続きを「その日のうちに電話とATMで急がせる」ことは100%あり得ませんし、公的な手続きは必ず「書面(郵便)」で行われるのが日本のルールなのです。

本当に確認すべきこと

還付金詐欺を防ぐ方法は、実はとてもシンプルです。

お金が戻るという電話がかかってきたら、相手の言葉を信じる前に、一度電話を切ることです。

そして、自分で市役所や年金事務所の代表番号を調べて、そちらへかけ直して確認するという、たったこれだけで、詐欺は確実に見破ることができるのです。

還付金詐欺は、最終的にお金を奪う恐ろしい犯罪でありながら、「あなたにお金をあげます」という優しい言葉から始まり、いつの間にか詐欺師の口車に乗ってしまうことで騙されることになります。

だからこそ、騙されてしまう人は決して欲深いわけではありません。

「自分のお金が戻ってくるための手続きで、役所の人が親切に教えてくれている」と、信じてしまった結果だけなのです。

だからこそ、世の中に出回っている詐欺の手口を知って、心に冷静な判断ができるように備えておいてほしいのです。

そして、これだけは覚えておいてください。

ATMを操作して、お金を受け取ることは絶対にあり得ないということです。

還付金詐欺ばかりではなく、すべての詐欺は、お金の話で電話を急かされたりしたりします。

お金の話が出たら、まずは一呼吸置いてから冷静に判断する習慣を身につけるようにしておいて下さい。

その冷静な習慣が、あなたの大切な財産を守る最も強い力になるのです。